対立があってもやもやする時の対処法

あなたの身の回りの 「対立」。 これってしょっちゅう起こりませんか?あなたが気づかぬうちに「あちらを立てれば、こちらが立たず」という状況の真ん中に置かれていたことはありませんか?

「ついてないなあ、またこの状況なのか?!」「こっちの選択をするととこうなるだろうけど、あっちの選択をするとああなるし・・・」「あの人が〇〇だから・・・」「この人が△△をやってくれれば・・・」「あのルールがあるから・・・」「この条件は守らないとまずいし・・・」と本当に「もやもや」しますよね。

DI-T’s FPはこんな状況におかれたあなたのもやもやを打開する、まさにうってつけの考え方、見える化の方法を提供しています。

「ジレンマ」 俗に、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態にあることを言います。

こうしたジレンマのもやもやを解消する道具が「クラウド」と言われる思考ツールです。
※クラウド:ビジネス書の世界的ベストセラー『ザ・ゴール』の著者、エリヤフ・ゴールドラット博士が開発した「3つの思考ツール」の一つ

上の図をみてください。
A、B、C、D、D’の5つのボックスから出来ています。この5つのボックスでジレンマの起きている構造を明らかにして、解決策を考えていくツールです。
まず、ボックスDとD‘に今見えていて、対立している行動を書いてみます。同時に選ぶことができない選択肢や、受け入れられない主張を書き入れてみます。

次に、対立はしているけれども、この行動をする共通の目的を考えます。「何のためにやっているんだっけ?」 これとても大事な問いかけです。そんな問いかけを繰り返していくうちに、きっと見つけられるであろうその共通の目的をボックスAに書き込みます。

ボックスBとボックスCには、それぞれ、ボックスDで書いた行動で何をしたいのか、ボックスD‘で書いた行動で何をしたいのかという要望を書き入れます。本当に達成したいことや、どんなうれしいことがあるのかを考えて書いていきます。

作成するときには、以下のように問いかけていくと書きやすくなると思います。

D: あなたがやりたい行動は何ですか?
D‘:Dと対立しているやりたい行動は何ですか?
A: 共通の目的は何ですか?
B: Dによって、Aのための何の要望を満たそうとしていますか?
C: D‘によって、Aのための何の要望を満たそうとしていますか?

このように考え、ボックスを埋めてみると、両方の要望ボックスB,Cを両立すること、それこそが本当に求めていることだと気づくと思います。気をつけたいのは、「要望」と「行動」は違うのだということです。「行動」は「要望」を満たすために行う「手段」なのです。

時として目的達成のために、いろいろ考えて調べて、まず行動しようと意気込んで進むのですが、いくら行動しても一向に解決に至らないことや、関連する手段の方法の情報収集に大切な時間とお金を掛けてしまい、気づくと益々もやもやを大きくしてしまうことがあります。

実はそれぞれのやりたい行動から、それぞれの要望をしっかりと表現して明確にしておくことが真の解決策に到達する近道なのです。

一旦書きあがったら、このクラウドをあなたご自身で評価してみましょう。そのやり方は簡単です。さあ読み上げてみましょう。

「DとD‘は、対立していますか?」
「Aをするためには、Bをする必要がある」
「Bをするためには、Dをするべきだと感じる」
「Aをするためには、Cをする必要がある」
「Cをするためには、D‘をするべきだと感じる」
「D‘をすると、Bという要望に妥協してしまうことになりそうですか?」
「Dをすると、Cという要望に妥協してしまうことになりそうですか?」
「BとCを両立して、Aが実現できたら最高ですか?」

読み上げてみて、意味が通り、違和感がなければ、これで完成です。さて、ここからが本番です。今まではもやもやの構造化のトレーニングをしました。

それでは、DI-T's FPオフィス代表の中野が検討したケースをご紹介します、一緒に体験してまいりましょう。

「対立」に立たされたあなたならは、どんな行動をするでしょうか?

中野は60歳で定年退職することを決めました。それなりに使えそうな資格を取得しました。はてさてそれだけではどうも収入を得ることが難しいということが分かってきました。いったいどうすればいいのだろうか?なんとか70歳でも活き活きと働いて収入を得て暮らしていたいのです。そんなもやもやジレンマに陥ってしまいました。

そこで「クラウド構造」を作ってみることにしました。今の自分のもやもやの対立は何からできているのだろうかと考えてみました。そうして作り上げたのが上の「クラウド構造」です。

それでは、確認のため読み上げてみます。

①「モノづくりの仕事以外の知識業で収入を確保したい」と「せっかくの経験・資格・技量を生かした仕事を継続したい」は対立しています。企業ではモノづくりが専門でしたから。

②「70歳でも活き活きと働いて収入を得ている」ためには「1日の労働時間は自分で決めて自由に暮らしている」必要があります。働く時間が自由に選べることが最高の贅沢だと考えているからです。

③「1日の労働時間は自分で決めて自由に暮らしている」ためには「モノづくりの仕事以外の知識業で収入を確保する」べきだと感じます。モノづくりはひとりではできません、そうなると他人の時間と必ず合わせる必要が出てくるため勤務時間を固定する必要があります。

④「70歳でも活き活きと働いて収入を得ている」ためには「経験値を生かしたコンサルタントをして若者の助けをして承認欲求を満たす」必要があります。今までの形式知、暗黙知を土台にして価値提供をし続けていくことにやりがいがあります。

⑤「経験値を生かしたコンサルタントをして若者の助けをして承認欲求を満たす」ためには「せっかくの経験・資格・技量を生かした仕事を継続する」べきだと感じます。自分の過去を振り返り、ストーリーを文章化していく中で、自分の経験値には唯一無二の価値があると考えることができていきましたから、提供できる価値は高いと信じることが出来ました。

⑥「せっかくの経験・資格・技量を生かした仕事を継続する」と「1日の労働時間は自分で決めて自由に暮らしている」という要望に妥協してしまうことになりそうです。企業での仕事を継続すると勤務時間、会社の方針に縛られることは明々白々でした。過去の経験値だけを頼りにした仕事を継続しても、その仕事には限界がきてしまい、結局、自由な時間を獲得することは難しくなると考えました。

⑦「モノづくりの仕事以外の知識業で収入を確保したい」と「経験値を生かしたコンサルタントをして若者の助けをして承認欲求を満たす」という要望に妥協してしまうことになりそうです。モノづくりの仕事以外の知識業をするにはかなりの新しい知識を吸収する必要がありそうでした。この学びを継続できなければ、コンサルタントとしての提供価値は早々に陳腐化してしまうことは想像出来ました。

⑧「経験値を生かしたコンサルタントをして若者の助けをして承認欲求を満たす」ことと「1日の労働時間は自分で決めて自由に暮らしている」ことを両立して、「70歳でも活き活きと働いて収入を得ている」ことが実現できたら最高です!「その通り!」と考えています。

こうして、読み上げてみると、まあまあ違和感がなくなるところまで作り上げることが出来ていると思います。

私は、この思考の整理方法を学ぶまではジレンマに立ち向かったとき「なかったふりをする」「どちらかをあきらめる」「選択がふらふらする」「最適解とか言って妥協する」「結局どちらも不満足でガマンする」という行動をたくさんとってきました。多くの妥協の産物を生んできました。こうした不満は、時間の経過とともに自分の中だけでなく、関係した外への影響も大きくなっていくものだと今さらながらに気づかされているのです。


そうなることがわかっているのに「出来ない」とあきらめていませんか?


本当はそれぞれの要望を満たしながら、目的を達成する解決策が欲しいのです。そうであればその方法を考えていきましょう。この方法を使って解決策を考え、行動した結果が現在の中野の現在地になってきたわけです。


いかがでしょうか?どうせ、このもやもやの解消法に出会ってしまったのですから、一緒にあなたのWin-Winの解決策を探しに行きませんか?仮にもしそれぞれの要望を満たしながら、さらに共通の目的が、周りにも貢献するようなテーマであれば「相手よし」「自分よし」「周りよし」の「三方よし」となることでしょう。

・それぞれが主張する行動は何か
・共通の目的は何ですか?
・共通の目的のための何の要望をみたそうとしているのか?

実はたったこれだけを問い続けるだけなんです。

例えば、ご結婚された、お子様が誕生した、お子様が就学した、お子様が独立した、ご自身が定年退職を迎える、このようなライフイベントを迎える度に「この先どうしようかな?」という思いにかられたことはありませんか?そんな時、ほぼ全員なんらかの「対立」することがあり、少しは考えてはみたものの結論は「大いなる妥協の選択」をしてきてしまったのではないでしょうか?そのようなご経験があるあなたこそ、一度この「クラウド」という思考ツールを使って、もやもやの解消に取り組んでみてください。何か一つwin-winの解決策を見つけられたら、それ以外のジレンマの解決がとてもスムースになっていくと思います。

そして今、あなたは何の課題に直面していますか?あなたはその重要な目的に到達するために「誰に」「何を」「どう」お願いしようとしていますか?