今から30年働くべきなのか?

中野の未来プランニング

まずDI-T's FPオフィス代表の中野が独立開業するに際して考えてきた「未来シミュレーション年表」で計画時、現在地をご紹介します。このチャートは、(株)FeelWorks代表取締役 前川孝雄氏の「50歳からの逆転キャリア戦略」のワークシートを参照し作成しています。

代表者プロフィールに詳しく書いていますが、中野は50歳の時点で「この先20年、30年の生き方」について考えるようになりました。上の表は、60歳の時点で作成したものです。50歳から60歳までの整理、60歳時点でのこれからの20年の構想を書き記しています。このようにあなたの過去を整理することで、あなたの強みや弱みが棚卸されてくるでしょう。さらに、これからの働き方に対して未来年表を作成するとワクワクしてきます。そのゴールを強くイメージすることができれば、それを達成するために何が必要なのか、何を経験しておく必要があるのかが見えてきます。そうしてバックキャストして現在までの行動計画を考えていきます。

このような年表を書き上げていくことはとても楽しい作業でした。なにせまだ何も起きていないので「不安」や「怖れ」はありません。「やるかやらないか」だけを考えるだけになっているのです。

自分の年表なんで本当に必要なの?とお感じになったあなたに向けてお話しましょう、日本人の同調特性に訴えてみます。

先人たちの動向とその理由

「令和2年版高齢社会白書」https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf
によると令和元(2019)年の労働力人口は、6,886万人であった。労働力人口のうち65~69歳の者は438万人、70歳以上の者は469万人であり、労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は13.2%と上昇し続けていると示しています。

令和元(2019)年の労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)を見ると、65~69歳では49.5%、70~74歳では32.5%となっており、いずれも平成17(2005)年以降、上昇傾向である。75歳以上は10.3%となり、平成27(2015)年以降上昇傾向となっています。

さらに、男女別、年齢階級別に就業状況を見ると、男性の場合、就業者の割合は、55~59歳 で91.1%、60~64歳で82.3%、65~69歳で58.9%となっており、60歳を過ぎても、多くの人が就業していることがわかります。

すでに先人たちは、定年はリタイヤではなく、何かしらの働く道を選択しているのがわかります。

現在仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しています。70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すれば、約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。

また、継続就業期間5年未満の起業者の年齢別構成の推移を見ると、65歳以上の起業者の割合は平成19(2007)年に8.4%であったが、平成29(2017)年は11.6%に上昇しています。

続いて、働く理由を見てみます。
現在収入のある仕事をしている人に、仕事をしている理由を聞いたところ、「収入がほしいから」(45.4%)が最も多く、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(23.5%)、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」(21.9%)の順となっている。性・年齢別に見ると、「収入がほしいから」とする割合は、男性の 60~64歳層で特に高いが、男女とも年齢が高くなるに従って就業の理由は多様化する傾向が見られます。

今すでに「働かされる社会」から「自ら求めて働く社会」へ移行していることに気づきます。

人は働くから元気なのです。元気だから働くのではないのです。

いかがでしょうか?無計画で60歳を迎えるのは怖くないですか?さらに意識した方がよさそうな情報があります。それはあなたの健康についてです。

定年を病にしないで

「50歳代」をキーワードにネット記事や雑誌の特集を目にすることが多くなりました。

「妻と買い物に無理やり同行する定年男性」「同窓会に行ける、行かないどっち?」「本当は手放したい50歳代の社員」とかです。

「逃げ切り社員」「お荷物社員」などレッテル張りも多々見受けられます。

いやはや気持ちが暗くなることばかり。すでに、会社に居づらい思いをしている人も結構いるのではないでしょうか。

終身雇用制度が崩壊し、上場企業に勤めている人でも、45歳以上が人員削減の対象になるニュースを見聞きするようになりました。定年後の主な問題は「お金」「健康」「生きがい」と言われていますが実は、定年後の居場所のなさを感じる人が多くいて「孤独」が新たな問題になっています。

「意欲がわかない」「出不精になる」「暴言暴行をしてしまう」「人付き合いができない」「老害扱いされる」などの事例が見受けられます。

突然の環境変化に困惑し、病気とは言えないまでも感情の起伏が大きくなったり、奇行、暴言が目立ってきたりして周囲を困惑させてしまうことが問題になってきているのが現実です。

あなたも、程度の差はあるでしょうが、このような悩みを抱える可能性を秘めています。これらの「定年をきっかけとした病」にならないための準備としてもできるだけ「働くこと」に着目して考える必要性を感じています。

定年までの自分が見えると燃え尽きる50歳代は多いと言います。定年までの自分に諦めるのではなく、定年後の自分を考えるきっかけとしましょう。

その時に重要なのは、他人と比べないことです。ご自身の価値観の変化にのみ注目してください。

本来働くことは楽しいのです、人は働くことによって人や社会とつながり、働いて誰かの役に立つことによってあなたの存在意義ややりがいを実感していくのです。

会社がいつまでも守ってくれないことは、はっきりしています。2020年4月にルールが変わったのです。マネープランで「お金」については安心できても本当の幸せには出会わないのです。

時間をかけてでもあなたのマインドセットを変えないとこれから30年は働けない時代になりました。すでに日本政府は、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度や「辞めて独立開業する」選択肢を勧めているのです。

「定年の病」の防衛策としても、人生後半戦の使命を考えていきましょう。