預貯金1000万円が見えたら備えたい資産形成の筋肉と知恵

あなたがもし資産形成力を付けるために筋トレをしようとする場合、まずに取り組みたいことは、稼ぐ力の筋肉量のアップです。そのトレーニングの結果として稼ぐ力が強くなったら、その次は貯める力を生み出す体幹の筋肉を鍛えるトレーニングをします。その体幹の筋肉トレーニングが習慣にできてきたという方の中には、預貯金の1000万円は意外と早く見えてくるでしょう。もしあなたがここまで出来てきたら次に何をしますか?

特に使い道がない、目的がないまま預貯金が留まっている状態を放置するのはとてももったいないと言わざるを得ません。しかも使い道は、貯まってきてから考えているようでは相当まずいです。なぜなら預貯金口座、現金をそのまま放置しておいても、日本の銀行預金は定期預金でも金利がせいぜい0.01%しかなく、ほとんど増えることはないからです。そうです、殖やす機会のないところに貴重なお金が放置されているのです。

何をするにしても目的がない状態では、あなたの行動が起きることはありません。その結果、お金の今の状態を放置するという環境に留まってしまいます。

かといって、どうしたら良いのか、なかなか分からないことと思います。

そこで今回は、1000万円というまとまったお金が見えてきた場合の殖やす力の筋トレをするための運用の知恵として、どう考えたらいいのかという方向と、5つの選択肢のそれぞれのメリットと注意点と対処方法をお伝えします。

預貯金を殖やす力が弱っている人は、ぜひご覧ください

はじめに:資産は分散して働かせよう

資産運用方法には様々なものがあります。それぞれの運用率を決定する要素は運用方法それぞれにおいて違いがあります。
まずわかりやすいのは、円の価値がインフレにより下落するリスクでしょう。
たとえば、外貨預金や外貨建て保険などがありますが、これらは資産を円だけで持っていると、もし円が暴落した際、インフレにより価値が毀損した際に、大きな損害を受けてしまいます。

そこで、他の資産に振り分けてリスクを分散するという考え方があります。それでは

1.外貨預金

2.外国債

3.米ドル建て一時払い終身保険

4.株式の長期運用

5.不動産投資

の5つについてお伝えします。

1.外貨預金

日本の銀行の預金金利が大きく低下して久しいですが、外貨での預金では、まだまだ高金利での運用の選択ができます。定期預金で比較すると、日本円では0.01%の金利しかないのに比べ、豪ドルでは6.0%、南アフリカランドでは40%となっています。
出典:「住信SBIネット銀行外貨定期預金

外貨預金の注意点

為替リスク

為替差損益は、外貨を買うタイミングと売るタイミングの為替相場の違いによって発生します。外貨を買ったレートよりも円安になれば差益を得られます。反対に円高に進めば差損が発生し、元本割れの可能性があります。

一般的に外貨の売買には為替コスト(手数料)が発生します。為替差益があっても、為替コスト(手数料)が元本の増加分より大きければ、結果的に当初預入れた元本よりも総額が減ることになり、元本割れとなります。為替差損があっても、預金の利息分が元本の減少分より大きければ、結果的に当初預入れた元本よりも総額が増えることになります。

できるだけ長期間置いておき、為替差損をカバーできるほどの利益を得ることで対応する、また購入するタイミングを分散することも、一つの投資手法として効果的と言えるでしょう。預入のタイミングを分散することで、為替変動リスクを抑えることを期待します。

国の破綻のリスク

また、国が破綻するというリスクもあります。ギリシャ経済の破綻は記憶に新しいですが、世界経済的に安定感のある国、自国通貨を発行する権利を持っている国(米国など)を選択すれば回避できる可能性が高いといえます。ギリシャは自国通貨からユーロに変えていて金融政策が限定的になっていたことが破綻を決定的にしました。

2.外国債

外国債券とは、「発行体」、「発行地」、「通貨」のいずれかが外国の債券のことをいいます。日本の国債は銀行金利と同じく利回りは低迷しています。

日本円(円貨)以外の通貨(外貨)で元本の払い込み、利子の受け取り、償還金の受け取りが行われる債券のことをいいます。債券投資のメリットは、あらかじめ利金・償還の支払いスケジュールが決まっていることです。

利率が確定している商品であれば、あらかじめ利払金額も決まっているので、計画的に資金を運用したいとお考えの方には最適の商品となっております。

また、満期まで保有していれば額面100%での償還となりますので、株式投資に比べ安定的な運用を行うことができます。

外国債のリスク

リスクは外貨預金と同じく、主なものとして「価格変動リスク」、「信用リスク」、「為替変動リスク」、「流動性リスク」、「カントリーリスク」などがあります。

為替リスクへの対処法は、長期保有して高い利回りを得て、それによって、円高による目減りが発生してもカバーできるようにすることです。 また、国の破綻リスクの対処法は、経済が安定している国のものを選ぶことです。

3.米ドル建て一時払い終身保険

米ドル建て終身保険は、米ドルで運用する終身保険です。

円建ての保険よりも利率が高く、さらに保険料も割安なため近年は人気を集めています。 米ドル建て一時払い終身保険には、一般的な終身保険と同じく、経過年数とともに死亡保険金と解約返戻金が増えていくものと、年ごとなど、定期的にお金を受け取ることができるものがあり、どちらか目的に応じて選ぶことが可能です。

3.1.オーソドックスな米ドル建て一時払い終身保険

死亡保険金と解約返戻金が年々増えていくものです。

一時払いなので数年で解約返戻金の返戻率が100%を超え、利率の大きさから円建てのものより返戻率の上昇率が期待できます。

今回はS生命の米ドル建て一時払い終身保険を例に、運用例を見ていきます。

条件

年齢:50歳

性別:男性

払込期間:一時払い

保険料:90,909.09$(1$=110円で1,000万円)

上記条件の場合、60歳時点での死亡保険金額、解約返戻金額は以下のようになります。

65歳時

死亡保険金額:200,614.00米ドル

解約返戻金額:118,363.63米ドル(返戻率130.2%)

返戻率を見ると、解約返戻金が約1.3倍増えていることが分かります。この返戻率の上昇の大きさが、米ドル建て一時払い終身保険の特徴です。また、上記の条件の場合、加入から5年目には解約返戻金の返戻率が100%を超え、5年目には104.5%になります。

加入して比較的すぐに返戻率が100%を超えるため、解約時の元本割れリスクが少なく、為替レートも余裕を持って見ることが可能です。
「死亡保険金」は税金面で優遇されており、「500万円×法定相続人の数」まで税金がかかりません。仮に死亡保険金額2000万円の場合、法定相続人が4人以上いたら非課税となります。

3.2 米ドル建て一時払い終身保険の為替リスクとポイントについて

米ドル建て一時払い終身保険で注意が必要なリスク は、
● 払込んだ金額よりも受け取れる金額が減ってしまう可能性がある
● 為替リスクがある
● 両替時に手数料がかかる
● 10年以内に解約するとペナルティ加入後に為替レートが円高ドル安になった場合、受け取るお金が目減りする可能性があるということです。

ただし、対処法はあります。米ドル建て一時払い終身保険は、利率が良く、加入期間が長ければ長いほど受け取れるお金が増えていきます。したがって、長期間加入することにより、円高ドル安によるロスをカバーできる可能性が高くなります。解約時期を選べるように払込期間よりも10年は長く保険期間を設定することをオススメします。

リスクを踏まえた上で、保険を選ぶポイントとしては
①運用利率の最低保証があるとそれ以上に利率が下がることがないので安心です。
②払込直後の解約返戻率が高いほど解約返戻金が多くなるので魅力があります。
③解約返戻率が100%を超える年齢はなるべく早い時期に100%を超える商品を選びましょう。
④利率の更改頻度について金利が低い時の商品であった場合は更改頻度が多い商品を選ぶとリスクを分散することができます。
⑤過去の運用利率を使っておおよそいくらくらいで運用しているのかイメージをつくってみましょう。

4.株式の長期運用

資産運用といえば株式投資です。株の売買や配当金の受取などで、利益を出していく資産運用法です。長期では配当金による不労所得(元金は必要です。)短期では売買による利益で資産を増やす(元金が必要です。)ことが可能になる手段です。

これらのうち、特にまとまったお金がある場合におすすめなのが長期での運用です。長期運用をすると配当金を受け取る機会が増えるため、着実にお金を増やしていくことが可能になります。
配当金は東証一部の場合、保有株式の価格の2%程度が一般的です。多いところでは3%というところもありますので銘柄選択の参考情報として比較するとよいでしょう。
長期運用の場合、不況などによって株価が大きく下がったとしても、回復を待つことができます。

また、配当金とは別に、優待として様々な特典を得ることが出来ます。例えば食品会社なら食事券、航空会社なら割引券、ホテルであれば無料宿泊券など、魅力的なものが多いです。銘柄を選択する場合、まずは自分が応援したい会社や、配当金や優待が魅力的な会社を選び、心に余裕を持って運用すると良いでしょう。そうして経験を積んでから、銘柄選定、短期売買に取り組むことが肝要でしょう。

5.賃貸不動産投資

不動産投資は初期投資額も多く必要で、その分リスクも大きいですが、不労所得を得ることが出来る資産運用方法であるというのが一般的なイメージの認知だと思います。

不動産投資では、銀行などの金融機関でローンを組むことで、少額の資本で、より価値のある不動産を購入して運用することができます。このやり方を「レバレッジ(英語で「てこ」の意味)」と言います。

気になるリスクは、空き部屋が多いと収益にならないことと、レバレッジを使うとローンを抱えること、老朽化による賃料の下落、そもそも人口減少などが挙げられます。

ただし、対処方法があります。まずは、投資する物件の条件を守ることです。

・新築(販売仲介業者なし)
・都市部
・駅近
・区分(ワンルーム)
・RC
・レジデンス(居住用)
・この条件の物件を調達出来る先を確保する

ことです。

さらに、不動産投資は不動産業とはまったく異なることの理解をすることが重要です。物件の管理をしたり、メンテナンスをしたり、直接物件を確認する必要はありません。

稼ぐ力が付き一定の年収を確保出来た方はあなたの信用力を確認してみましょう。(特にサラリー層は優遇されています)あなたの信用力が鍛えられていれば、適切な金利でローンを組みことが可能になり、毎月のローン返済額を毎月の家賃収入で補填でき、少額の年間費用で収入保障保険の代替になるワンルームマンション投資の形態を手にできます。大きな資産形成を素早く獲得することが可能です。不動産投資は他の運用手段にない資産形成の成長速度に速さがあることが大きなメリットです。

不動産投資を学んで、正しくリスクを評価し、対応手段を間違わなければ生命保険と相応するメリットを得ながら大きな資産形成が速く得られます。

まとめ

あなたは資産形成力を付けるための筋トレをします。そして稼ぐ力の筋肉量のアップができ、その結果として稼ぐ力が強くなります。貯める力の体幹筋肉も鍛えることができてきて、まとまった貯金ができる条件が揃い始めたとき、必ず考えたい資産運用について紹介しました。

考え方の基本的な方向は、円通貨だけで資産を持っておくことによるリスク(インフレによる価値低下など)を抑えることです。そのリスクを回避して、できるだけ実現可能で、比較的活用しやすい5つの方法をお伝えしました。

5つの方法にはそれぞれメリットと注意点と対処方法がありますので、それらを踏まえ、学んでいただけるとよいと思います。

くれぐれも手段の比較ばかりを考えることなく、あなたのライフプランについて立ち止まって具体的にイメージをつくってから、資産形成の目的、目標、達成したい時期を明確にして、最終的にはあなたの好みの運用方法を選びましょう。

この選択できる眼、これこそがこれから備えたい「運用の知恵」といえます。

中野 太久二
DI-T's FPオフィス代表。ファイナンシャルプランナー。宅地建物取引士。総合的な資産形成を軸に「あなたのやりたいこと」を実現するための相談ができる場所を創るために独立した。

特定の企業に属さず「必要としている人に必要なモノをお届けしたい」を第一にチーム体制を活用して多面的にアドバイスを行います。初めての人にも平易な言葉で分かりやすい説明をするスタイルに定評がある。

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